Global Sustainability Science副専攻

Global Sustainability Science副専攻は、理工学研究科の博士前期課程(修士課程)に設置される新しい副専攻です。持続可能性科学の実践を担うグローバル人材の育成を目指します。広義の持続可能性科学を構成する多様な学問領域の英知を結集し、ダイナミックな学際的な教育と研究を実践していきます。標準的な修了期間は1年とし、すべての授業は英語にて行います。
英語による授業への挑戦がしやすいように、履修方法は柔軟に設定しています。M0履修も可能です。現在、M1、M2の学生も学ぶことができます。
副専攻のディプロマは博士前期課程修了時に得られますが、修了内定証や修了見込みは随時発行できますので、就活にも活用できます!
この特設サイトでは、履修要項などでは分かりにくい疑問にお答えしていきます。

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副専攻長メッセージ

ホーテス シュテファン (Stefan Hotes)


持続可能性は、非常に単純な概念でありながら、具体的に定義しようとすると、極めて複雑で、把握しづらいものです。「将来的に存続し得るあらゆる状態」のように幅広く定めておくと、何らかの方法で定量化できるすべての項目が「持続可能性の指標」になり得ます。そして、現状から将来の状況を確実に予測できれば、あらゆる状態が持続可能なのか、科学的手法を用いて正確に判断できるようになるはずです。しかし、過去の変化を記載するためのデータが不足したり、主要な変数の間の関係を適切に再現するためのモデルがなかったりし、合意形成や意思決定を支えるのに十分な知見が得られていないことがしばしばあります。それでも、人間一人ひとりの幸福を追求しながら、環境や社会、経済の安定性と回復力に配慮した行動をとることが求められています。
Global Sustainability Science副専攻においては、物理学や化学、生物学など自然科学の理論を踏まえて、社会と経済が地球環境の容量に合わせて発展できるように、どうすればよいか、多様な視点から探っていきます。持続可能性を巡る研究課題を提起するための手順について学び、自分が選んだテーマについてリサーチペーパーを執筆します。科学的知見を、実世界において活用するための様々なインターフェイスについて、国際レベルから地方レベルまでの具体例を取り上げていきます。これによって、企業や行政機関、民間団体が直面している問題の解決に貢献するのに必要な能力を身に付けることができます。持続可能な生活様式の発見という、我々が生きている「人新世」における最大のチャレンジに応えたい方に、この副専攻の履修をおすすめします。

Sustainability is a very simple concept, but defining it in concrete terms is an exceedingly complex task, leaving it difficult to grasp. If we set it broadly as ‘a state that can continue into the future’, any item that can be quantified in some way is potentially suitable as a sustainability indicator. If we are further able to accurately predict the future state of the item from its present situation, we should be in a position to evaluate its sustainability using scientific methods. However, we often don’t have sufficient data to describe past changes or develop models to adequately reproduce the relationships among key variables, and sufficient knowledge to support consensus-building and decision-making cannot be provided. Even so, there is a need to take into account the stability and resilience of environmental, social and economic systems while pursuing individual happiness. In the minor ‘Global Sustainability Science’, we explore how societies and economies can develop in step with the capacity of the global environment from a variety of angles, based on the theoretical foundations provided by natural sciences such as physics, chemistry and biology. We learn about the processes for specifying research tasks in relation to sustainability, and participants write a research paper about a topic of their choice. To acquire the skills needed to contribute to the solution of real-world issues faced by businesses, administrative offices and non-governmental organizations, we study the interfaces between science and its application, using examples from international to regional levels. I strongly recommend taking this minor to any student who wants to become involved in responding to the greatest challenge we face in the Anthropocene – discovering lifestyles that can be sustainable.


履修要項

履修要項はこちら↓です。履修の際は、これをお読みください。
副専攻案_Global Sustainability Science_履修要項


履修方法の概略

Global Sustainability Science副専攻の授業は簡単に言うと次のようになります。
必修:Global Sustainability Science特別演習I、II(リサーチペーパー)各2単位 計4単位
選択:16の授業の中から、4つを選択。ただし、1-4の選択区分の中から、最低2群は選択。
なので、Global Sustainability Science特別演習I、IIの履修登録すれば、自動的に副専攻がなされたものということになります。

選択科目について
M0履修も可能です(というか、お勧めします)ので、選択16の授業科目のうちから、興味のある科目を早めに取得しておくこととよいでしょう。同じ科目や名称変更科目(応用認知心理学→心理実験デザインと解析、応用脳科学→認知多変量解析、認知行動・実験経済学→消費者認知脳科学)については、これまでに習得した科目を組み入れることも可能です。ただし、他の副専攻に組み入れたものは使うことができません。また、学部との合併科目を学部科目として履修した場合は、GSS副専攻に組み入れることはできません。来年度から科目が増えますが、履修が可能であれば、これらを組み込むことも可能です。
選択16科目にはそれぞれ1-4の選択区分が設定されています。このうち、2つ以上にまたがるように8単位以上を履修してください。たとえば、
都市生態学[選択2]
応用生物統計学[選択2]
認知行動・実験経済学(旧科目M0履修)[選択2]
情報検索[選択3]
というような組み合わせです。なお、特におすすめなのは、Global Sustainability Science特論[選択1]です。これは複数教員によるオムニバス講義で、分野の外観を分かりやすい英語で把握することができるように設計してあります。
内容が不明の際は、事務局担当教員の檀(dan.69j(アットマーク)g.chuo-u.sc.jp)にお気軽におたずねください。

リサーチペーパーついて
GSS副専攻では、リサーチペーパーを英語で執筆いたします。科目登録としては、Global Sustainability Science特別演習Ⅰ、Ⅱを登録すれば、指導が始まりますが、事前に担当教員にご相談ください。修士の指導教員を選択することも、それ以外の教員を選択することも可能です。内容はリサーチペーパー指導の担当教員ごとに変わりますので、こちらについても、担当の先生にご相談ください。イメージとしては、次のような内容が考えられます。
・国際学会を目指して紀要論文を基にリサーチペーパーを書く
・卒論を発展させて、国際誌への論文投稿を目指し、これを基にリサーチペーパーを書く
・修士研究のサブテーマを英語論文にまとめる(投稿は問わない)
・ある分野に関して文献調査を行って、レビュー論文にまとめる
・国際共同研究プロジェクトでの研究経験を英語でまとめて論文にする
リサーチペーパーの審査は、指導教員が主査になりますが、副査の教員を1人以上選択する必要があります。
GSS特別演習はⅠとⅡが設定されていますが、リサーチペーパーをⅠ→ⅡでもⅡ→Ⅰで仕上げてもかまいません。しかし、どちらかの学期終了時までには仕上げることが必要です。間に合わない際に翌年度の再履修は可能です。ただし、GSS特別演習Ⅰを2回といった履修パターンはないので、GSS特別演習Ⅰ、Ⅱの開講時期を待つことになります。このため、リサーチペーパーを提出しても、単位を取得しないと修了内定証は発行できないので、修了見込みの発行となります。
GGG特別演習Ⅰ、ⅡのM0履修はできません。しかし、GSS副専攻のリサーチペーパーを念頭に、学部の段階から準備を進めていくことは可能ですので、このような場合は、指導教員に相談をしておいてください。
リサーチペーパー指導の可能な先生方は、以下の通りです。
有川太郎、加藤俊一、高田まゆら、檀一平太、手計太一、西川可穂子、ホーテスシュテファン、山村寛、竹内文乃、原田芳樹

ディプロマについて
GSS副専攻を終了すると、デイプロマを取得することができます。これは博士前期課程(修士課程)の修了時に発行されますが、それ以前にリサーチペーパーを提出して12単位を修得して、修了が確実になった場合、ディプロマ内定証を発行することが可能です。また、10単位(必修2単位を含む)を取得した時点で、修了見込みを発行することが可能です。
これにより、英語で副専攻に取り組んだという実績を履歴書に書くことができますので、キャリア面では大きなアピールになるでしょう。就活だけでなく、その後のキャリアパス展開にも活用できると期待していますので、ぜひ、挑戦してみてください。
さらに、GSS副専攻の選択科目はすべてM0履修がですので、なるべく早くから準備を進めておくのがよいでしょう。これにより、最短でM1の前期終了時点で、修了見込みを発行することができますので、修士院生の夏期インターンや早期選考に活用することが可能です。
なお、ディプロマ内定証と修了見込みの発行は、副専攻内で行いますので、必要な際は、事務局担当教員の檀(dan.69j(アットマーク)g.chuo-u.sc.jp)にリクエストしてください。

履修時期について
GSS副専攻の選択科目はすべてM0履修ができますので、計画的な履修を始めましょう。すでにM0履修をしている科目とM1、M2で修得する科目を合算することができますので、該当が可能であるかどうか、要綱をみて確認してください。GSS特別演習は4月入学の場合、M1前期I-後期Ⅱ、M1後期Ⅱ-M2前期Ⅰ、M2前期I-後期Ⅱ、M1前期I-M2後期Ⅱというパターンが考えられます。9月入学はⅡとⅠがずれますが、同様のパターンで履修可能です。

他の副専攻との重複
GSS副専攻を構成している選択科目の多くは、他の副専攻と重複しています。これらの科目について、GSS副専攻で修得した科目を他の副専攻の修了要件に用いることはできないので、ご注意ください。なおGSS副専攻と主専攻に同じ科目を修了要件に用いることは可能です。

その他、ご質問は、事務局担当教員の檀(dan.69j(アットマーク)g.chuo-u.sc.jp)にまで、お気軽にお声がけください。