人間総合理工学科ではProject Based Learning(課題解決型学習)に基づく課題設定・解決能力の獲得を目的とした授業の一つとして、「人間総合理工学演習Ⅰ・Ⅱ」という科目を3年時に実施しています。
前期に行われる人間総合理工学演習Ⅰでは、演習の前半で対象地域の特徴や問題について調査を行い、さらにそこで発見した課題を解決するための技術・技法について学びます。そして、演習の後半では担当教員と学生がグループを組み、学生たち自らが解決すべき地域課題をグループごとに設定して、1か月強の期間の中でその課題解決に向けた調査・分析や解決策の提案を行います。
今回、11月2・3日に東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライトで行われたCSIS DAYS 2018という研究発表大会において、2018年度の人間総合理工学演習Ⅰ内の取り組みの一つである、空間情報科学グループの成果が発表されました。この空間情報科学グループには、17名の学生が所属し、山田育穂教授・関口達也助教の指導で「文京区の高齢者の買い物環境の改善」をテーマに研究を行いました。発表内容は、空間情報科学の手法を駆使して、高齢者の買い物が不便な地域や買い物に利用しづらい道路を抽出し、地図上に視覚化する方法を提案したものです。
学部3年生の研究がこうした学術大会の場で発表されること自体が珍しいことですが、
さらにこの発表は、同大会における優秀研究発表賞を受賞しました。当日は、空間情報科学分野の全国の研究者が集まる中で63件もの研究発表がなされ、その中から4件の受賞がありました。当学科の学生の取り組みの成果がそのうちの一つに選ばれた事となります。
学生の皆さんは、前期の演習が終了した後も自主的に準備を進め、発表で使用する研究ポスターの作成等、当日まで準備を進めてきました。当日はその中から3人の学生メンバーが研究発表大会に実際に参加し、ポスターセッションでの質疑応答をこなしました。学生の皆さんは最初は少々緊張気味でしたが、最終的には大分リラックスして解説・質疑応答をしていたようでした。
題目等の詳細は、以下の通りです。
題目:高齢者の安全な買い物のための買い物環境と歩行環境の評価とその視覚化
著者:関口達也, 山田育穂, 稲垣祐希,卯月葵,大野 裕紀,川嶌英渡,木村光希,小島郁也,酒井柾英,清水玲果,霜田悠人,杉本裕樹,杉山夏美,田口晴菜,田代みなみ,玉野聡一朗,塚田健人,三橋祐太,諸井克行(空間情報科学グループ)
なお、この大会では空間情報科学研究室の修士2年の学生の眞田さん、仁平さんも参加をして、それぞれの修士研究の内容について発表を行いました。それぞれの題目等の詳細は以下になります。
眞田さん
題目:住民の歩行習慣および健康状況と環境要因との関連性の分析
著者:眞田佳市郎,山田育穂
仁平さん
題目:自転車利用者のGPS 軌跡データを用いた道路の利用頻度と幅員との関係性
著者:仁平裕太,山田育穂
【当日の参加メンバーの感想】
霜田:
空間情報科学について研究している方々と質疑応答で話したり、私たちの研究についての意見やアドバイスがいただけてとても貴重な体験だった。これからの卒業研究に活かしていきたい。
清水:
多くの方々の研究を見て学ぶことができた。より良い卒業論文を作成するうえで参考にしていきたい。
木村:
初めての学会で緊張もしたが、研究成果について専門の方々にアドバイスなどを頂けて有意義な時間だった。様々な研究から空間情報科学の可能性を実感し、今後の自らの研究が楽しみになった。