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学科のお知らせ石川研究室

中央大学理工学部が「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」のサテライト拠点を構成する参画機関に選ばれました。

「『水』大循環をベースとした持続的な『水・人間環境』構築拠点」への参画

中央大学理工学部人間総合理工学科教授 石川幹子

 

文部科学省と独立行政法人科学技術振興機構の革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)は、10年後、どのように「人が変わる」のか、「社会が変わる」のか、目標とする社会像を見据えたビジョン主導型の研究開発プログラムであり、「少子高齢化先進国としての持続性の確保(ビジョン1)」、「豊かな生活環境の構築(ビジョン2)」、「活気ある持続可能な社会の構築(ビジョン3)」の三つの領域について20136月より公募が開始され、このほど190の申請の中から12の拠点が採択されました。そのひとつ、信州大学を中核拠点とする「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点」のサテライト拠点として選ばれた、独立行政法人海洋研究開発機構を代表機関とする「『水』大循環をベースとした持続的な『水・人間環境』構築拠点」に、中央大学理工学部は株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所、東京大学、独立行政法人宇宙航空研究開発機構とともに参画することになりました。

 

  このサテライト拠点では、独立行政法人海洋研究開発機構と独立行政法人宇宙航空研究開発機構は「造水・水循環システムシミュレーション」、東京大学は「地下水系循環のモデル構築とシミュレーション」と「水循環システムの階層化モデリングとグローカル制御」、中央大学は「『水・人間環境』の分析と計画方法論の研究」、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所は「フィールド型・エージェント型シミュレーションの融合による『水・人間環境』のシミュレーション」を担当します。

 

  中央大学は、このプロジェクトへの参画を通して、これまで蓄積してきた研究成果、豊かな人材を活用し、「活気ある持続可能な社会の実現」に向けた水・人間環境の社会的基盤形成研究をより強力に進めていきたいと考えています。すなわち、気候変動に伴う水環境の変化を踏まえて、流域圏を基盤とする人びとの生活・文化を尊重した新しい都市・地域計画の計画論の研究と社会実装を行っていきます。主要研究フィールドは、第一にメガシティにおける地球環境問題の顕在化という視点から東京大都市圏、第二に東日本大震災被災地の復興、そして第三のターゲットがアジア諸国です。

第一の課題については、東京におけるヒートアイランド現象、集中豪雨、地震などの災害リスクの分析を踏まえて、シミュレーション分析を行い適応可能な都市環境政策の提示により、東京を「環境都市」へと転換させるための基幹的研究を行っていきます。

  第二の課題である東日本大震災の被災地復興については、中央大学理工学部は、この間復興まちづくりを一貫して支援してきており、復興を先導する役割を担ってまいりました。現在の課題は、個々のまちを越えた広域連携型のグランドデザインの提示が必要とされており、なかでも農業構造の大規模転換に伴う、水利用の最適化、及び再生可能エネルギーの問題は、東北のみならず日本全国に共通する課題であり、本研究に課せられた役割は、極めて大きいものがあります。

 

第三のアジアとの連携につきましては、中央大学理工学部には、河川環境、水資源、エネルギー、社会基盤に関する優れた蓄積があり、国際水環境プログラムにおいてアジアとの交流が鋭意進められております。本サテライトへの参画は、これまでの蓄積と今後の可能性をつないでいき、新たな展開を促すものとなっております。

 

折しも、20134月、中央大学理工学部に人間総合理工学科が誕生いたしました。この学科創設の主旨は、社会が必要とする新しい領域を従来の理工学の蓄積を踏まえて、「人間」を軸とし、開拓していこうとするものであり、革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)のサテライト拠点への参画は、このようなビジョンを実現していく基盤となると考えます。皆様の御協力をお願い申し上げる次第です。