ニュース
生命・健康科学研究室小峯研究室

小峯研3年林美玖さんが国際会議で講演を行いました

小峯研3年の林美玖さんが国際会議(World Conference on Drowning Prevention 2023)で講演を行いました。
World Conference on Drowning Prevention とは溺水の問題に焦点を当てた国際会議です。本国際会議の発表は査読審査を経て採択されるもので、その中でも林さんは難易度の高い口頭発表に採択されました。学部3年生としては快挙です!

学生のグローバルな活躍を積極的に支援する人間総合理工学科ならではの成果といえるでしょう。



小峯研のWebサイトはこちら

講演内容の要旨(日本語訳)

社会情勢、報道と水難事故の関係背景:近年、日本の海岸では毎年夏に約2,000-3000件の救助が行われているが、救助件数は年によって異なる。その理由の一つとして、水難事故の報道や社会情勢の変化による人々の行動心理の変化が海水浴客や救助者数に影響を与えていると考えられる。
本研究では、海水浴客数や救助数の変化が報道件数や社会情勢と関連があるかどうかを調査した。

方法:国内売上高上位新聞社5社の記事データから、2011年から2023年までの4-8月の河川・海水浴場・プールにおける水難事故とその注意喚起に関する記事を抽出した。

海水浴客数と救助者数は日本ライフセービング協会が集計した。

1: 年ごとのデータから報道、海水浴客数、救助数の関係を見る。
2023年は日ごとのデータがあるので、同様に関係を見る。

2: 上記3つにはその他の要因もあると考え、降水量、気温、週末か否かとの相関を調べた。

結果:水難事故とその警報に関する報道件数は平均327.2件/年であった。
報道件数は夏に増える傾向があり、夏前の5~6月は平均計72件、7~8月は平均234件となった。
夏前の報道数の増減による海水浴客数の変化はなかった。
また、報道が少なかったため、海水浴客や救助の数が増加した様子はなかった。
一方、利用者数が最も多かったのは2013年の160万人で、これは2011年の東日本大震災の影響が和らいだことによるものと考えられる。
2020年は海水浴者数や救助者数が大幅に減少しており、これは新型コロナウイルス感染症の影響によるものと考えられる。

結論:年ごとのデータより夏に向けて報道数は増加する傾向にあったが、海水浴客数や救助数と強い相関はなかった。
海水浴客の数は、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症などの社会情勢の影響を受けたとみられている。
一方日ごとのデータより、報道と海水浴客数と救助数に関係は見られたが、1番関係が強かったのは、海水浴客数と週末か否かであった。

今後は、日ごとのデータを積み重ね、分析手法を検討していくと共に、分析範囲を広げていきたい。