授業紹介
人間総合理工学科応用認知脳科学研究室檀研究室

【専門科目の授業紹介】「応用認知心理学」檀一平太先生

この科目では、人間が物事を捉えたり考えたりするときに生じる思考の傾向と歪みを認知心理学的な概念を通して学びます。人間の思考の特性を把握したうえで、物事を客観的かつ分析的に理解する思考法を身に付けることが目的です。

 

我々は世界を正しく認識しているのか?

みなさんは身の回りの物事を正しく認識できていると思いますか?実は、私たち人間の思考にはある共通の歪みがあります。例えば、毎月のお小遣いが「0円から1000円」になったときと、「10000円から11000円」になったときでは増えた金額は同じなのに喜びの大きさが違うような気がしますよね。これも認知の歪みのひとつです。講義では、このような人間の認知の歪みを説明した心理学的概念が紹介されます。知識として人間の認知の特性を知り、それを意識して物事を捉えることで、より効率的な論理的思考、つまりメタ認知的な論理的思考を身につけるのです!課題では、先生が授業中に提示したテーマに関連したトピックについて調べ、1分ほどのビデオプレゼンにまとめて発表します。学んだことを知識にとどめず、プレゼン課題を通して発信することで学生はさらに理解を深め、みんなで力を合わせて知識を拡大していきます。

 

近年の脳科学的知見を踏まえて心理学の概念が学べる!

「心理学」と聞くと、たくさんの概念を学ぶだけのように思われるかもしれません。ですが、この授業を担当する檀先生は脳科学が専門の先生なので、この心理学的な概念として言われている認知の歪みに脳科学的視点でどのようにアプローチするかを紹介してくれます。つまり、人間の認知の歪みを実際にどのように測定して定量化することができるかまで学ぶことができます!これにより、人間の思考特性を定量的に認識できるだけでなく、それを把握したうえで実際に論理的思考へとつなげることで、科学的な視点を磨いていきます。

 

見どころは工夫を凝らしたプレゼンテーション課題

学生がプレゼン課題で取り組むトピックは先生から指定されるわけではなく、授業を聞いて各学生が興味を持ったトピックを自由にピックアップしてプレゼンします。単なる授業の焼き直しではなく、授業で扱った内容を超えて自由な発想で課題に取り組むことが重要です。一見難しく感じる心理学の概念や心理学者の功績も、みんなで手分けして調べ、学生ならではの視点で身近な具体例を用いて紹介することで自分の理解を深めつつ、他の人の発表からどんどん知識を得ることができます!時には、「授業で学んだ人間の思考の歪みを何かに生かせないか?」といったように、学んだことを「知恵」として現実社会に応用する力が要求される課題が出されることもあります。見る人を楽しませ、かつ納得させるようなプレゼンを作るのは至難の業です。みなさんも工夫を凝らしたプレゼンテーションで檀先生も唸るプレゼンができるようになるかも?!

 

図1.心理学-脳科学の橋渡し
fNIRSやfMRIを用いた脳の活動部位の観測によって、心理学で説明されている理論を定量的に評価できる。